学校帰りのたい焼きがおいしかった話。

日記
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たわいない、思い出話。

 

高校生の頃はお小遣い制で、アルバイトもしていなかった私は、ちょっとしたお菓子やジュースを買うことも渋る日々を過ごしていました。

アルバイトはすればよかったのに、学校への申請が面倒だったのと、やったことのないアルバイトに対する不安から、一度も挑戦せずに高校時代を過ごしました。

毎月もらうお小遣いは5,000円。

高校生なら十分に思える金額にも関わらず、今までお小遣いをやりくりしたことがなかった私は、なけなしの5,000円を上手に使えませんでした。

うっかり、ゲームを買ってしまい、その月の残額は300円…なんてこともざらでした。

 

そんなお小遣い、大事なお小遣いで手に入る、ひとつの楽しみがありました。

それは学校の帰り道で、たい焼きを食べること。

何の変哲もない普通のたい焼きです。1個300円程度だったと思います。ただ、ひたすらにあんこが詰まった、ただのたい焼き。

そのたい焼きのぱりぱりを眺め、ひとくち、ぱくり。

 

今日、一日を振り返りながら、ぱくり。

 

明日はどんなことが起きるだろうかと考えながら、ぱくり。

 

その頃は、その時間がどれほど幸福に満ちた時間かも知らずに、ただただのんびりとたい焼きを食べていました。

 

たい焼き屋さんが潰れた今、再び、帰り道でたい焼きを食べながら物思いにふけることができなくなってしまいました。

 

今日はこんなことがあったなあ。

 

明日はどんなことが起きるだろう。

 

帰り道のたい焼きを失った今、あの頃のような素直な心で、今日や明日を考えることができません。

毎日、毎日、ボクらは鉄板で…

 

この懐かしい歌も聴こえてこない。

 

 

あの頃のたい焼きに置いて行かれた私は大人になり、心が枯れないように水を与えながら必死に息をしている。

 

明日までにこれをやらなくては。

明日はこれを終わらせなくては。

明日は…明日は……

 

いつから

 

明日を考えることが嫌いになったんだろう。

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