【書評】榎田ユウリさんの死神シリーズ1作目を読んで思ったこと

小説
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小説「ここで死神から残念なお知らせです。」を読み切りました。

257ページあるこの作品、死神が死者からサインをもらう業務を中心に話が進んでいきます。

内容を忘れないうちに感想を残しておこうと思います。

読んだことのない人のためにさらっと作品概要に触れ、それ以降はがっつり作品の感想なので読んだ人向けの内容になっています。

「ここで死神から残念なお知らせです。」作品概要

表紙の人物が死神

「ここで死神から残念なお知らせです。」書誌情報
作者:榎田ユウリ
定価:550円(税別)
出版社:新潮文庫
出版年:2015

 

本作のあらすじは以下のようにまとめられています。

「私、死んでいるの?」
「はい。ご愁傷様です」

梶真琴が、喫茶店で耳にした不可解な会話。それは、保険外交員風の男が老婦人に契約書のサインを求めている光景だった。男は、死んだことに気づかぬ人間を説得する「死神」だと宣う。漫画家志望で引きこもりの梶は、なかば強引に死神業を手伝わされることに。最期を迎えた人々を問答無用であの世へ送る、空前絶後、死神お仕事小説!――あなたは、死んでいないと言い切れますか?

出典:「ここで死神から残念なお知らせです。」裏表紙

このようなあらすじを読み、試しに購入してみたこの小説。文章は割とカジュアルな感じで、文章慣れしていない人にも読みやすいかと思います。

本編は257ページまでと、一般的な文庫本程度の分量です。

書店では、「2018 nex甲子園 読者が選んだ第1位!」という帯がしてあり、どうやら死神シリーズは人気の様子。

ちなみに、死神シリーズと書いたように、シリーズもので3部作となっています。3部作を出版順に並べると下のようになります。

  • ここで死神から残念なお知らせです。
  • 死神もたまには間違えるものです。
  • ところで死神は何処から来たのでしょう?

つまり、今回読んだ「ここで死神から残念なお知らせです。」はシリーズ第1作ですね。



死神に振り回される主人公

ここからは感想ですので、読んだ方のみお付き合いください。

 

コミュ障・引きこもり・無職。

本作の主人公、インパクトありますよね。

しかし、現代においてコミュ障・引きこもり・無職というコンボはそんなに珍しいものではなく、やけに現実味があるのが怖いですね。

私もコミュ障・引きこもりはクリアしているので、あとは無職になれば主人公と同類になれます。

それに対して死神はものすごく活発で、読んでいて元気が吸い取られるような気持になりました。主人公とシンクロしてます。

 

そんな死神に振り回される主人公は、さぞ大変だったろうなと思います。しかし、主人公の人生において、こんなにもコミュニケーションをとったり考えたりする日は久しぶりであり、決して悪いものではなかったのではないかと思います。

だって、人と接しない生活なんて、自分が本当に人間なのかわからなくなりそうですし、自分の発言に対して他人から返答がくるってだけでも案外幸せなものなんじゃないかと私は思っています。

それに、他者とのかかわりを避けて無関心を貫いてきた主人公が、他人の感情に興味をもったり同情したりすることができるようになったのは、ものすごい成長です。

人生最後に、めちゃくちゃいい経験したんじゃないかと思いました。

なぜ主人公が目をつけられたのか

はじめは気にしていなかったのですが、物語を読み進めていくうちに、なぜ梶さんだったんだろうと思うようになりました。

コミュ障・引きこもり・無職の梶さんよりも、アシスタントとして優秀な人なんてたくさんいます。

梶さんが死神のセールストークを聞いてしまったからなのかとも思ったのですが、なんかそれだけじゃないような気がしてしまって。

いろんなことを考えた結果、梶さんの死期が近いから死神は梶さんを傍においていたのでは?と予想しました。

が、終盤でびっくりしました。

そういうことだったのか

梶さんの死期が近いのでは~なんて述べましたが、惜しかったです。

既に亡くなっていたとは驚きです。

言われてみれば、序盤で死神の名刺を触っていなかったんだなあと合点しましたが。

梶さんが死神と別れて、メロンパンを奪われて眠くて寝ちゃったあたりで、そろそろ亡くなるのかとそわそわしていたのですが、見当違い。

でも惜しかった…ニルバーナで死神と出会ったときからそうだったとは。

味のしないみかんとかいろいろ伏線もあったようですが、私も梶さん同様全スルーです。うといな~

しかも、驚きはこれだけじゃありませんでした。

作品の中の作品だったとは

いい感じで梶さんが納得して眠ったと思いきや、ありゃ、梶さんの作品だったとは。

高橋さんが編集のお仕事で、梶さんがマンガ家。最初は死後の世界なんじゃないかと思ったくらいです。

しかしまあ、一所懸命にマンガのネームを描く梶さんですが、どうやら難治の病で入院中でもしや…と思いました。

もしや。そうです、こっちの梶さんも亡くなるのでは?と思いました。

その後、高橋さんが梶さんのネームを持って編集社に向かう途中、余見のような人物が現れます。

梶さん、出版には間に合わないんでしょうね…

とはいえ、こっちの梶さんは何作か作品を創っており、何も果たすことのできなかった梶さんとは状況が違います。

いくらかの救いがあるような。

それにしても、もしかしたら梶さんは死期が近いのを悟ってそのような作品を創ったのでしょうか。自分の名前を主人公にして、死神のアシスタントをやらせ、さらには亡くなる…

もしくは、その作品の中の梶さんと、作者の梶さんは実は同一人物で、死期が近づいて前世の記憶がうっすらよみがえって作品にした、とか。ないですかね。

どっちでもいいんですけど、それよりもこの作品から学んだことをまとめて終わろうと思います。

いつ死んでもおかしくないのだからやりたいことはやっておきたい

この作品を読んで思ったことは、「やりたいことはすぐにやるべき」ということです。

先延ばし。作中の梶さんの先延ばしはものすごいレベルでしたよね。漫画家志望でありながら、何かと言い訳をつくって挑戦しないまま、何も創らないまま終わってしまいました。

梶さんでなくても、誰でも先延ばしにすることはあるかと思います。明日やればいいや…と。

それでも、夢や目標があるならば、自分がやりたいことならば、その時々にやっておく・進めておくことは大切だなあと。

課題とか、仕事とかやる”べき”ことはたくさんありますが、まあ、最悪それらを放っておいても怒られるか無職になるか程度で、死ぬわけではないんですよね。

怒られるのはもちろん嫌ですが、死と天秤にかけると大したことないなあ、と思います。

だから、やりたいことがあるなら、元気なうちにやってしまいたいな、と。

 

私は2018年にこのブログをはじめました。なぜはじめたかと言いますと、「このままじゃ嫌だ」と漠然と思ったことがきっかけです。

今までも趣味はあって、いろいろやってきたはずなんですけれど、いまいち何も手元に残っていないような気がして、不安になりました。

だから、記録を残すことで、何をしてきたのか、何をしたいのかを明確にしたいと思いました。それに、形にすることでやる気も出てくるんじゃないかなあと。

そうして、今の「ねこどんの寝言。」が出来上がりました。

 

いくらやりたいことをやってみようとしても、必ず後悔はすると思いますが、それでもやらないよりはやったほうが納得できるんじゃないかと思う次第です。

2019年も、いつ「死神」が来てもいいように、できるだけ悔いのないようにやりたい放題したいなと思います。

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ねこどんの寝言。

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