『ダーリン・イン・ザ・フランキス』考察:パパは“毒親”だったのか?子供たちの自立が分かれた理由

雑記
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『ダーリン・イン・ザ・フランキス』を全話見終えて、しばらく経ってから改めて感想をまとめたいと思い、今回は「毒親」という切り口でダリフラを考察していきます。

ダリフラは2018年1月〜7月にTRIGGERとCloverWorksが共同制作した全24話のTVアニメ。ロボットに乗って戦う子供たちを描いた作品ですが、単なるロボットアニメとしてではなく「管理する大人」と「管理される子供」の関係性、そしてそこからの自立というテーマで見ると、また違った面白さが見えてきます。

まだ視聴していない方のために、まず作品概要を簡単にまとめ、後半で視聴済みの方向けにネタバレありの考察を展開します。

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作品概要

第1話冒頭のゼロツー
役割人名・組織名
監督錦織敦史
キャラクターデザイン田中将賀
制作TRIGGER/CloverWorks
その他石洋之、コヤマシゲト、赤井俊文、林直孝

制作陣を見るだけでも、かなり豪華な布陣だとお分かりいただけると思います。『アイドルマスター』や『天元突破グレンラガン』のキャラクターデザインを手掛けた錦織敦史さんや、『君の名は。』『心が叫びたがってるんだ。』のキャラクターデザインを手掛けた田中将賀さんなど、ヒット作に関わった方が多く参加しています。

全24話で、前半は登場人物一人ひとりを丁寧に掘り下げることに重点が置かれ、後半になると世界の謎が明かされ、スケールも一気に広がっていく構成です。

あらすじ

物語の舞台は遠い未来。人類は荒廃した大地に、移動要塞都市“プランテーション”を建設しました。その中にあるパイロット居住施設“ミストルティン”では、この物語の主人公である“コドモ”たちが暮らしています。

コドモたちは外の世界も自由も知らず、隔離された施設で「フランクス」というロボットに乗り、“叫竜”という敵を倒すことだけを教えられて育っています。

そんなコドモたちの前に、謎の少女“ゼロツー”が現れるところから物語が動き出します。

全体を通しての感想

第13話「まものと王子さま」

ここからは視聴済みの方のみお付き合いください。

先に結論を言うと、私の評価は「賛否両論」です。ただ、少なくとも前半についてはかなり高く評価しています。

前半は、コドモたち一人ひとりの内面や関係性の変化を丁寧に描いていて、見ていて飽きませんでした。一方で後半は、宇宙戦争にまでスケールが広がったことで展開が急になり、正直やや雑に感じてしまった部分もあります。前半が良すぎたからこそ、後半の評価が相対的に下がってしまったというのが実感です。

このあたりの感じ方は、本当に人によって差があると思います。個人的には、人間の心理や感情の機微を映像の中でしっかり表現してくれる作品が好きなので、前半でコドモたち一人ひとりにフォーカスした描写がとても面白かったです。

ここからは、そんな前半の面白さの核になっている「毒親」というテーマについて、じっくり考察していきます。

考察①:「パパ」は毒親なのか

「毒親」という表現はあまり好きではないのですが、ダリフラの世界における“パパ”たちは、まさにこの言葉が当てはまる存在だったように思います。

心理カウンセラーのスーザン・フォワードは、著書『毒になる親』の中で、子供の人生に悪影響を及ぼす親のパターンをいくつか挙げています。それを踏まえてダリフラの“パパ”を見てみると、大きく次の2つの特徴に当てはまると感じました。

  • 子供が従わないと罰を与え続ける、絶対的な支配者のような親
  • 「あなたのため」と言いながら、実際は自分たちの都合で子供を支配する親

ダリフラの“パパ”は、本当の親ではなく実際は権力者と奴隷という構図に近いのですが、あえて「パパ」「コドモ」という呼び名にしているあたりに、制作陣の意図を感じます。

特にパパの影響が色濃く出ていたのが、もう一つの部隊“9’s”です。彼らはとにかくパパを妄信していて、パパのために、パパに褒めてもらうために生きていました。9’sに対しては、13部隊に何度もちょっかいを出していたことから批判的な感情を持つ視聴者も少なくないと思いますが、彼らもまた被害者です。

9’sは結局、見下していたゼロツーのコピーだと判明し、妄信していたパパたちがいなくなってからは生きる意味を失ってしまいました。長く支配され続けた後遺症で、自分というものがなく、見ていて痛々しい状態にまでなってしまいます。

一方で13部隊のコドモたちは、様々な衝突や思春期を経験し、仲間との絆も深めており、パパを失っても“自立”できるくらいには時間をかけて成長していました。

この9’sと13部隊の対比こそが、ダリフラの前半で一番面白いポイントだと思っています。

考察②:思春期の反抗心が自立を分けた

なぜ9’sと13部隊で、これほど自立度に差が出たのか。私はその鍵が「思春期」にあると考えています。

主人公ヒロやヒロインのゼロツーが所属する13部隊は、他のコドモたちとは違う扱いを受けていました。それは、建前上はフランクス博士の実験のためでしたが、結果として13部隊は自立に向かっていくことができました。

思春期の中心になったのは、やはりヒロとゼロツーで、彼らから伝播していったように見えます。ヒロは神童と呼ばれてきただけあり、好奇心が強く賢いため、パパたちの洗脳に染まりきらなかったのだと思います。

もちろん最初のうちは染まっていて、フランクスに乗れない自分は存在する価値がないとまで思っていました。しかし、ゼロツーとの再会によって、かつての賢明なヒロが少しずつ戻ってきたのではないでしょうか。

ヒロとゼロツーを起点に、イチゴやゴロー、ココロ、ミツルといった13部隊全員が、それぞれ他者との関わりの中で自我を持ち始めます。その結果として、13部隊のコドモたちは自立できたのだと思います。

そしてもう一つ重要なのが、第19話に描かれた「パパへの反抗心」です。

思春期に欠かせないものが「反抗」です。反抗できるかどうかで、その後自立できるかどうかが変わってきます。13部隊は、ミツルとココロの関係が引き裂かれたり、“コドモ”は“大人”になれないという真実を知ったりする中で、パパたちに対して不信感や反抗心を抱くようになりました。

13部隊は非常に運がいいと思います。自我を強く自覚するようになった上に、大人へ反抗するチャンスを得た。パパたちが消える直前というギリギリのタイミングで反抗できたのは、本当に運が良かったとしか言いようがありません。

もし思春期を経験せず、パパたちへの疑問や反抗心を持てないまま最終決戦を迎えていたら、13部隊の自立は9’sのようにギリギリになるか、間に合わなかったかもしれません。

そう考えると、13部隊をある程度自由にさせ、ヒロとゼロツーを再会させたのも、すべてフランクス博士の計画だったのではないかと思えてきます。たとえその目的が“叫竜の姫”との再会だったとしても、結果的に人類を救ったことに変わりはありません。

おすすめ回:第7話「流星モラトリアム」

第7話「流星モラトリアム」

毒親〜自立というテーマについて散々書いてきましたが、ここで一つ、おすすめの回を紹介させてください。

私がダリフラの中で一番気楽に見られた回は、第7話「流星モラトリアム」です。

「モラトリアム」とは、もともとは経済恐慌などの際に国家が債務の履行を一定期間猶予することを指す言葉です。そこから転じて、社会人になる自信がなく、大学の卒業などを先延ばしにしている状態を指す比喩表現としても使われます。

  • 社会人になるのが怖くて、あるいは進路が決まらなくて大学院に進学する人
  • 就職が思うようにいかないから、あえて留年する人

こうした状態は、まさにモラトリアム期間に該当します。これ自体は決して悪いことではなく、長い人生を生きる上で必要な時間なら、存分に使うべきだと個人的には思っています。

第7話までいろいろあった13部隊ですが、この回では一瞬の休暇が与えられます。その休暇の様子がとても楽しそうで、現代に生きていればこんなこと簡単にできるのになぁ…と、少し切なくなってしまいました。

「流星モラトリアム」はところどころ、以降の話につながる伏線もありますが、比較的頭を使わずに見られる“休憩回”です。特にみんなの楽しそうな様子や、ゼロツーの屈託のない笑顔が見どころだと思います。

「大人になるのを先延ばしにする猶予期間」という意味で捉えると、この回がしっくりきます。子供として楽しく過ごせる最後の時間だったのかもしれません。

第7話の美しいゼロツー

とにかく、この回はキラキラしていて眩しい、ダリフラにしては珍しい回だったのです。

好きなキャラクター:ゼロツー・イチゴ・ミツル

ここまで作品全体の感想を書いてきましたが、好きなキャラクターについても触れておきます。私が好きなのは、ゼロツー・イチゴ・ミツルの3人です。

第8話のゼロツー

ゼロツーは多面的な性格の持ち主で、自由奔放なところが周囲を巻き込む力になっています。時にワイルドですが、非常に可愛らしい一面も持ち合わせていて、表情がころころ変わる様子を見ていて飽きません。

鳥かごで猫と戯れるイチゴ

イチゴは、冷静に見せてヒロにぞっこんでしたね。それゆえ恋愛脳だと叩かれたりもしていましたが、思春期の女の子らしくていいじゃないかと思います。子供ですし。

そうやって一生懸命悩んで、最終的にヒロとゼロツーの2人を応援できるようになるまでをしっかり見てから、彼女への評価を定めてほしいと思います。イチゴの必死さは、この作品の魅力の一つです。

第16話のミツル

ミツルは、ヒロへの誤解が解けるまで苦しそうでしたが、誤解が解けてからはヒロに向き合えるようになって良かったです。本来の性格はクールだけど優しい、そういう子だったんだなと思ったとき、素直にいいキャラだなと感じました。

こういう静かで優しく、自分の考えも持っている人は、素敵ですし、現実にもなかなかいないんじゃないかなと思います。

まとめ:前半は必見、後半は賛否両論だけど見る価値あり

ダリフラに対する評価は、ここまで書いてきた通り賛否両論です。

ただ、13部隊にフォーカスした前半の展開の作り方は非常に面白かったですし、後半は前半が良すぎたから相対的に盛り下がって感じてしまったのだろう、というのが今の結論です。

個人的なおすすめは、第13話までです。ここが物語の最高潮だったように思います。宇宙戦争にまで話が広がったあたりから「うーん?」と思うことが増えました。とはいえ後半にも考える余地はたくさんあって、それはそれで面白かったのですが。

今回は「毒親」と「自立」という切り口で考察しましたが、比翼の鳥や連理の枝、アダムとイヴのモチーフなど、他にも面白い考察ポイントがいくつもある作品です。何度見返しても新しい発見がある一作だと思います。

コメント

  1. シックスマン より:

    どうも初めましてm(_ _)m
    個人的に人間の心理や心情を表現しているものとしていいなと思ったのが、黒子のバスケです。以前ジャンプで連載していた作品で名前の通りバスケをしているのですが、そこに折り込まれている登場人物たちの心理描写がくどすぎず、ちょうどいい範囲で収まっていると思います。
    自分が1番好きなキャラは赤司ですが、他の登場人物もとても魅力的だと思います。Wikipediaを見ると詳しく書いてありますが、映像で見るのがおすすめです。このアニメは3期までありますが、自分が好きな話は3期の主人公と過去の仲間たちの出会いと決別の話です。

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