ブックカフェでさらっと読んでいたらもっと読みたくなって購入した本、『失はれる物語』。
作者の乙一さんといえば、『夏と花火と私の死体』で有名ですね。
『失はれる物語』は、短篇5作とリリカルな怪作「ボクの賢いパンツくん」、書き下ろし「ウソカノ」の2作を収録した短編集です。乙一さんの読みやすい文章は健在で、特に学生さんが読んでいて面白いと思いやすい感じがします。
私が読んだ時の感想を残しておきます。
『失はれる物語』の書誌情報
- 平成18年6月25日 初版発行
- 平成29年5月20日 33版発行
- 著者:乙一
- 発行所:㈱KADOKAWA
あらすじ
目覚めると、私は闇の中にいた。交通事故により全身付随のうえ音も視覚も、五感の全てを奪われていたのだ。残ったのは右腕の皮膚感覚のみ。ピアニストの妻はその腕を鍵盤に見立て、日日の想いを演奏で伝えることを思いつく。それは、永劫の囚人をなった私の唯一の救いとなるが……。表題作のほか、「Calling You」「傷」など傑作短篇5作とリリカルな怪作「ボクの賢いパンツくん」、書き下ろし「ウソカノ」の2作を初収録。
『失はれる物語』裏表紙より
気になったこと
元々は、渋谷にあるブックカフェ「森の図書館」にて、冒頭に収録されている「Calling You」を読み、不覚にも涙ぐんでしまったことがきっかけで購入した本でした。
森の図書館というブックカフェはお酒とともに静かに本との出会いを楽しめる【道玄坂】
乙一作品を読んだのはこれが初めてで、作者の作風とかも知らないまま読みました。(その後、『銃とチョコレート』を読み、なんとなく今風で不思議な出来事の多い世界観で描く作家さんなのかな?と思いました。)
やっぱり「Calling You」が一番好き
全篇読んでみて、やはり最初に良いと思った「Calling You」が好きだと思いました。私の好みなんでしょうかね。
「Calling You」では、誰かと話すのが怖い、携帯も持っていない高校生の女の子が、空想の携帯電話を持ち始めるというなんとも変わった始まり方をします。
この先の展開は、自分の目で確かめてほしいのですが、雰囲気をお伝えするのなら超不思議、ありえなさすぎるお話です。
不思議さでいえば、新海誠監督の「君の名は。」のような不思議さです。それくらいありえない。
ただ、なぜ好きかというと、こんな関係があったらいいなぁ、と心温まる内容で、かつ、結末が悲しいのに温かいから。
皆さんには、この「Calling You」だけでも読んでもらいたいな~と思っているくらいです。
本作は「不思議」と形容できる作品
乙一さんといえば、ホラー作品で有名と聞きました。デビュー作の『夏と花火と私の死体』もホラーですね。
ただ、『失はれる物語』は、ホラーよりも不思議な雰囲気の作品集です。現実に起こりえない出来事や出会いなどが盛りだくさん。ただ、あからさまにファンタジー!というわけでもなく、現実の中に起きた不思議な出来事って感じです。
それに、やっぱり不気味さの漂う作品もありました。自然とホラーになっちゃうんでしょうか。
まとめ
私は『失はれる物語』の中で一番好きな作品は「Calling You」ですが、みなさんは何を一番気に入るのでしょうか。
全体的に不思議な感じはありますが、それぞれの話でまた雰囲気が違うので、好みは人それぞれだろうと思います。
あなたのお気に入りの話を見つけてください。
コメント